フランス本国のエルメスからの依頼による動画のプロジェクト。
Artdirection+Design: Tomohiro Okazaki
Sound: Tokuro Oka
紙の印刷加工会社である福永紙工株式会社と共に進めているプロジェクト「紙工視点」の2022年発表の為の、告知動画/展示POP-UP/パッケージ/DMのグラフィックデザインおよび、プロジェクト・製品開発のディレクションを担当しています。
三組のデザイナーにそれぞれあたらしい紙のプロダクトをデザイン・開発していただき、福永紙工より発表しました。
現在製品を購入する事ができます。
グラフィックザインの歴史において「紙」という素材は、印刷を載せて届けるメディアとしての歴史がありますが、今回プロジェクトの視覚デザインにおいてチャレンジしたのは紙の物性から動きを取り出し、その動き自体を支持体にして文字情報を載せた時にどのような可能性が生まれるかについてです。また展示発表の際の会場什器も紙のプロジェクトならではのチャレンジをしています。会場什器はすべて紙で作られています。丸く閉じた帯のパーツの中に全紙サイズの紙をくるりと入れるだけで紙が広がる力を用いて筒状のパーツとして自立するとてもシンプルな構造を用いてデザインされています。これらの什器は再度平たい状態の紙に戻す事ができる為、2週間ほどの展示会期を終えた後に、福永紙工のワークショップなどで使用されることを踏まえて設計されています。
HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE AUTUMUN WINTER 2022/23 COLLECTION の PARIS MEN’S FASHION WEEK にて発表した映像ショーの告知グラフィクと、ティザー映像のデザインを担当しました。前回のシーズンと引き続き、印刷物と映像を等価値に捉えた、紙の平面情報と時間軸に乗せたグラフィックデザインを両立させた仕事になります。アーチ型の構造を起点につくられた衣服のデザインの思想から、その構造を抽象化し、紙の情報と合わせることでこのティザー映像のグラフィックは成り立っています。
印刷物のDMのデザインは、シンプルに機能的な情報構成とし、基調となる色は特色インキを複数回刷り重ねることで強さと深さを引き出しています。また、紙の地と、インキのグロス、グロスニス、銀インキの光の反射を的確に配置しデザインしています。
21_21 DESIGN SIGHT にて2021年12月より開催の企画展「2121年 Futures In-Sight」展にてコンテンツを提供しています。
展覧会名のとおり、今から100年後の世界を想像するための多様な問いとその背景にある視座を集める展覧会です。可能性についてのポジティブな未来でもなく課題意識を持つようなネガティブな未来でもないニュートラルな姿勢をもとに「人間の手作業は100年後にはどのように変化しているのでしょうか?」という問いを立て、「手でつくる時間」という展示コンテンツをデザインしました。背伸びをせずに普段の私の活動から自然に出された問いです。人間の身体性はそんなに変わらないよねであったり、いやいや道具やテクノロジーの進化で飛躍的にできることが発展するでしょうなどと、頭で考えることは簡単ですが、その「手でつくる時間」の時間そのものについて向きあってみるきっかけをと考えました。
1分ちょうどの砂時計をストップモーションの技法で手作業でつくり、その制作過程の実時間の映像と、アニメーションとして仕上がった砂時計の映像が、表裏一体となって展示されているコンテンツです。コマ撮りアニメーションで砂を扱うのは意外と難しいのですが、作業工程が少し多いため、制作時間は10時間4分かかっています。展覧会会場の開館時間は10時から19時までの9時間ですので、開館時間内に終わらない映像体験となっています。
黙々と集中し、手で作業をしている時間そのものを展示する試みです。
開館している日は、毎日、朝から砂時計の砂を黙々と筆を使って移動させはじめます。おそらくお昼前頃にはもうひとつの道具を使いはじめて作業をしている頃と思います。日暮れには段々と砂が下段に溜まっていっているかと思います。閉館あたりでは、ほとんどの砂を移動させているはずです。そういった時間を展示しています。
展覧会において挿絵のように機能すればと考えています。
ISSEY MIYAKE 2021年のホリデーシーズンアイテム「WOOL SHELL KNIT」の為の映像とパッケージをデザインしました。
映像は、WOOL SHELL KNIT が持つ巻貝のような形状の組成から生まれる柔らかい質感を体感できるようなディテールから、服のデザインから引き出せるユーモアのある動き、そして服と人間との関係性の中にある豊かさを観察するように、紙芝居のようなアニメーションで目の中に喜びを生むような展開の構成をデザインしています。映像は最後に再び服のディテールを見て終わります。
パッケージのデザインは、このお仕事のお話をいただいたタイミングはコロナ禍のはじまりから一年ほど経った時でしたので、大きく生活への意識が変わっていた時でした。以前であればホリデーシーズンのパッケージであれば、ある種のがっしりとしたボックスのような、華美さや特別さをまとったデザインになりがちだと思いますが、大きく個人の感覚的にもそういった価値観から、もっと素直な生活への眼差しを大事にしようとする価値観へと変化していることを感じていました。ですので、今回のホリデーシーズンのパッケージは「紙で包むだけ」という無理のない素直なデザインを提案しました。
ハトロン紙とよばれる、薄手で柔らかい白い紙に、白インクと銀インクをつかってグラフィックを載せていますが、このグラフィックは、大阪大学大学院教授・生命科学者の近藤滋さんの研究による、貝殻の形状ジェネレーターで生成した貝の形状グラフィックです。実はすべての種類の貝の形状をいくつかのパラメータのバランスだけでつくることができるのです。二枚貝から巻貝までも全種。そんな自然の形である貝の形に潜む面白さや豊かさを数理で解いていくとても豊かで面白い研究です。今回のイッセイミヤケのシーズンアイテムは、数理とはまた別の視座から貝殻などの自然の形から発想して生まれていますが、共に自然のありのままの姿と向き合った時に立ち上がる美しさと好奇心が共通しているなと感じました。ですので、服を購入して頂いた人達と、貝の研究の文化とを結び繋げるような構造をデザインできないかと思いました。きっとグラフィックデザイナーは、情報の色形を構成する以外にも、こういった、存在と存在を結びつけることのデザインができる可能性があると感じています。
そういう気持ちでデザインをしました。
映像はこちらから
千葉県市原市、自然の中に佇む古民家を改築した撮影スタジオのロゴのデザインを担当しました。
2021年9月にリオープンしたユニクロ銀座店のあたらしいモーションサインの企画・デザインを担当しました。
これまでのユニクロの白と赤の強いグラフィックイメージから、現在Life Wearとして展開している、暮らしの中の豊かな質と向き合う姿勢の変化を感じ、少しゆったりと、暮らしの豊かさに寄り添うような佇まいを意識しつつ、生地でできた数字のタイポグラフィーが物性のままにモーションする、ユニークでポジティブなユニクロらしいサインの在り方をデザインしています。
JAGDA(日本グラフィックデザイン協会)の会員向けのイベントのためのロゴデザインおよび、ロゴモーションを担当しました。「で」と「デ」が回転機構により入れかわり続けるロゴデザインです。